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「辞めるなら損害賠償を請求する」「お前が抜けたら会社が傾く、訴えるぞ」。退職を切り出した瞬間にこの一言を浴びせられて、ドアノブに手をかけたまま固まっていませんか?
採用コンサルティングを14年、辞めさせたくない会社が最後に持ち出す札を採用側の打ち合わせで見続けてきましたが、その筆頭がこの「損害賠償」という脅し文句です。
先に言い切ります。この脅しの大半は、法的には何の効力もありません。
民法627条が定める退職の自由がある以上、会社があなたを金で縛ることは原則できないからです。
この記事では、退職を損害賠償で脅されたときに「辞めたら訴えるは嘘なのか」を法的根拠から切り分け、ほとんどのケースで請求が無効になる理由と、それでも食い下がられたときの具体的な切り返しまで、採用する側の手の内を知る立場でお伝えします。
脅し文句がセットで迫ってくる場面ほど、冷静さが効きます。読み終えるころには、その脅しが紙の刃物だと分かって、肩の力が抜けているはずです。
- 退職を損害賠償で脅されても、民法627条の退職の自由により請求が成立しないケースがほとんどである理由
- 「辞めたら訴える」が嘘になる仕組みと、例外的に賠償が問題になりうる数少ないケースの正確な切り分け
- 違約金・研修費返還の請求が労働基準法16条で禁じられている根拠と、脅された瞬間の具体的な切り返し手順
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退職の損害賠償の脅しで本当に払うのか

退職を損害賠償で脅されても、民法627条の退職の自由がある以上、退職そのものを理由とした請求は原則として成立しない。脅しの大半は引き留めの口実である。
会社員として働く人の退職には、民法627条第1項という強い後ろ盾があります。期間の定めのない雇用契約、つまり一般的な正社員であれば、退職を申し入れた日から2週間が経過すれば、会社の同意がなくても雇用契約は終了する。
これは退職の自由と呼ばれ、憲法22条が保障する職業選択の自由を労働の場面で具体化したものです。会社が「辞めるなら損害賠償だ」と言ったところで、法律が認めた行為に対して賠償義務が生じるという理屈には、そもそも無理があります。
採用する側の打ち合わせの現場では、辞表を出した社員に対して「損害賠償を匂わせろ」という指示が経営陣から出る場面を、私は何度も見聞きしてきました。それでも、その会社が実際に弁護士を立てて、退職それ自体を理由に訴訟まで進めたケースは、私の知る限り数えるほどしかありません。
脅しは口で言うだけならタダだから言うのであって、訴訟には弁護士費用も時間もかかり、しかも退職を理由とする請求は勝てる見込みが薄い。会社側にとってまったく割に合わない選択肢なのです。
💡 ポイント
「損害賠償を請求する」という言葉と、実際に訴状が裁判所に提出されることの間には、深い谷があります。脅しの段階で怯んで退職を撤回してしまうと、会社の狙いどおりです。まず「言われた」と「請求された」を頭の中で分けてください。
もちろん、世の中に「絶対に賠償ゼロ」という保証はありません。後述するとおり、故意や重大な過失で会社に具体的な損害を与えた場合など、例外的に賠償が議論されうるケースは存在します。ただしそれは「退職したこと」への賠償ではなく、「退職とは別の行為」への賠償です。
この区別がついていれば、引き留め目的で飛んでくる脅しのほとんどは恐れるに足りないと分かります。引き留め全般への向き合い方は、円満退職の秘訣と引き留めに動じない退職交渉術でも具体的に整理しています。
「辞めたら訴える」は嘘なのか?法的根拠で切り分ける

「辞めたら訴える」はほぼ嘘である。退職は民法627条が認めた権利の行使であり、権利の行使に対して損害賠償は原則発生しないからだ。
「辞めたら訴える」という言葉を法的に分解すると、ほとんどの場合は脅しの域を出ません。退職は民法627条が認めた正当な権利の行使です。正当な権利を行使した相手に対して「権利を使ったから損害が出た、賠償しろ」という主張は、法律の世界では基本的に通りません。
会社が訴えること自体は誰にでもできますが、訴えて勝てるかは別の話です。退職したこと自体を理由に賠償が認められた例はまず見当たりません。
一方で、退職に付随する別の行為(無断欠勤の常態化や悪質な引き継ぎ放棄など)が原因で会社に実損が出たと認定され、数十万円規模の賠償が命じられた裁判例は実在します。
つまり「辞めたこと」への賠償と「辞め方に伴う別の行為」への賠償は、まったく別物だと押さえてください。
退職そのものに賠償義務が生じない理由
期間の定めのない雇用契約では、民法627条第1項により、退職の申し入れから2週間で契約が終了します。
改正前の旧民法では、月給制の場合に労使双方とも当期の前半までに次期以降の解約申入れをする必要があるとの解釈が存在していましたが、2020年4月1日施行の改正民法で627条2項は「使用者からの解約の申入れ」のみに適用される規定として明文化され、労働者からの退職申入れについては雇用形態にかかわらず1項の2週間ルールが適用されることが明確になりました。
就業規則に「退職は1ヶ月前に申し出ること」と書いてあっても、退職そのものを止める効力まではなく、民法の2週間で契約を終了させられるとする見解が有力です(予告期間を就業規則でどこまで延ばせるかは学説に議論がありますが、少なくとも退職を阻止する力はありません)。
だからこそ、退職届を出して2週間が過ぎれば、あなたは法的に自由の身です。その自由の行使に賠償が乗るという理屈は、出発点から崩れています。
会社が「お前が辞めたせいで売上が落ちた」「取引先に迷惑がかかった」と言ってきても、それは退職の自由の範囲内で生じた、会社が当然に負うべきリスクです。
一人辞めただけで回らなくなる体制は、その社員の責任ではなく、人員配置を放置してきた会社の経営判断の問題。採用設計を80社で見てきて断言できるのは、属人化を放置した穴の責任を退職者に転嫁する会社ほど、辞めるべき会社だということです。
違約金・研修費返還が請求されたら
退職 違約金 請求されたという相談は実際に多いものですが、「3年以内に辞めたら違約金100万円」「研修費を全額返せ」という請求も、多くは無効になります。
労働基準法16条が、労働契約の不履行について違約金を定めることや、損害賠償額をあらかじめ決めておくことを禁じているからです。これは賠償予定の禁止と呼ばれ、入社時に「○年以内に辞めたら○○円」という念書にサインさせられていても、その金額を定めた条項自体が法律違反として効力を持たないのが原則です。
注意したいのは、16条が禁じているのはあくまで「あらかじめ金額を決めておくこと」だという点です。
労働者が現実に故意・過失で会社に損害を与えた場合に、実際に生じた損害額の賠償を請求すること自体まで一律に封じる規定ではありません。とはいえ「○年以内に辞めたら○○円」のような定額の取り決めは、その金額条項が無効になるというのが原則です。
研修費・留学費用の返還については少し丁寧な切り分けが要ります。
裁判例では、(1)研修が業務命令ではなく労働者の自由意思に基づくこと、(2)研修内容が業務と直結せず、労働者個人の利益・資格になる性格が強いこと、(3)返還免除までの期間や金額が不当に長すぎ・高すぎず合理的であること、といった事情を総合して、返還の合意が有効と判断されたものもあります。
逆にいえば、業務に必要な研修の費用や、拘束期間が長すぎる返還条件は、実質的に退職を妨げる違約金とみなされ、16条違反として退けられるケースが多数です。「返せ」と言われたからといって、慌てて支払う必要はありません。
請求が無効になりやすいとはいえ、その場で「払う」と口約束したり、請求書にサインしたりするのは避けてください。
一度合意したと取られると、後から覆すのに余計な手間がかかります。「持ち帰って確認します」で止め、書面でのやり取りに切り替えるのが安全です。法的な最終判断は弁護士に確認するのが確実です。
損害賠償が例外的に問題になるのはどんなケース?
賠償が現実に問題になるのは、退職そのものではなく、故意・重過失による具体的損害や悪質な引き継ぎ放棄など「退職と別の行為」がある場合に限られる。
退職そのものへの損害賠償は無効でも、賠償が一切ありえないとは断言できません。退職という行為そのものではなく、退職に付随する別の行為が悪質だった場合に、限定的に損害賠償が議論されることがあります。
ここを正確に押さえておくと、自分のケースが本当に安全圏なのか、ごく一部の例外に当たるのかを自分で判断できます。賠償が問題になりうる代表的なパターンは、次の3つに集約されます。
- 故意または重大な過失で会社に具体的な損害を与えた場合。たとえば顧客データを意図的に削除して持ち出す、進行中の重要案件を故意に破綻させるといった行為は、退職とは別の不法行為として賠償の対象になりうる。
- 引き継ぎを一切せず突然連絡を絶ち、それが直接の原因で会社に明確な実損が出た場合。ただし通常の退職で引き継ぎが多少不十分だった程度では、損害との因果関係の立証が難しく、賠償が認められるのは極めて稀。
- 競業避止義務や秘密保持義務に違反し、在職中に得た営業秘密を使って会社に損害を与えた場合。これは退職の自由とは別の、契約上の義務違反の問題として扱われる。
故意の損害・引き継ぎ放棄・秘密保持義務違反という3つのパターンに共通するのは、いずれも「普通に退職届を出して、最低限の引き継ぎをして辞める」だけでは当てはまらないという点です。
あなたが手元の業務を整理し、退職届を出し、決められた最終出社日まで働いて去るのであれば、賠償の対象になる行為は存在しません。会社が口にする「損害賠償」が、この3つのどれにも当たらないなら、それは法的根拠のない脅しだと判断してかまいません。
💡 ポイント
自分が不安なら「会社が具体的にどの行為で、いくらの損害を被ったと主張しているのか」を冷静に書き出してみてください。
多くの場合、ここを埋められず「とにかく迷惑がかかる」という抽象論しか出てこないはずです。具体的な損害額を立証できない請求は、訴訟になっても通りません。
損害賠償の脅しにはどう切り返し、どう辞めればいい?
損害賠償の脅しを受けたら、①記録を残す ②退職届を内容証明で送る ③口頭で約束しない。この3点を守れば、ほとんどの会社は脅しをやめる。
損害賠償をちらつかせる会社への対処は、感情で言い返すのではなく、淡々と記録と書面で固めるのが正解です。脅す側が一番嫌がるのは、相手が冷静で、やり取りがすべて証拠として残ることです。
私が採用側の現場で見てきた限り、社員が録音と内容証明で対応を始めた瞬間に、トーンが急に下がる会社がほとんどでした。引き留めの圧力は、こちらが怯えている間だけ効くものです。手順は次のとおりです。
やり取りを記録に残す
「損害賠償を請求する」「訴える」と言われたら、その場で録音するか、直後にメモを取って日時とともに残してください。
退職の意思表示を口頭でしたなら、後からメールで「○月○日に退職の意思をお伝えしました」と送り、文字として履歴を作ります。脅し文句は、それ自体が会社にとって不利な材料になりえます。
退職妨害や、賠償の根拠なき威迫として後で問題化できる場合があるからです。記録があるという事実だけで、相手の出方は変わります。
退職届を内容証明で確実に届ける
「退職届を受け取らない」と突き返してくる会社には、内容証明郵便が効きます。内容証明は、いつ・誰が・どんな文面を送ったかを日本郵便が証明してくれる仕組みで、これを使えば「退職届を出した日」を会社が否定できなくなります。
民法627条の2週間は、退職届が会社に到達した日の翌日から数え始めます(民法140条の初日不算入)。受け取り拒否で時計を止めさせないために、到達を客観的に証明できる内容証明は強力です。
退職届の文面そのものに迷う場合は、退職届と退職願の書き方完全ガイドのテンプレートをそのまま使ってください。
交渉や法的対応が必要なら専門家へ
記録と内容証明で大半は片づきますが、それでも会社が弁護士名で請求書を送ってきたり、執拗に脅しを続けたりする場合は、こちらも法的対応に切り替える段階です。
ここで気をつけたいのは、退職代行サービスの種類によって対応できる範囲がまったく違うという点です。民間業者は「退職の意思を伝える」ことはできても、会社との交渉や法的な反論はできません。
会社が損害賠償を主張してきている時点で、必要なのは交渉ができる相手です。
退職代行 損害賠償というかけ合わせで頼れるのは、弁護士が直接対応してくれる退職代行です。損害賠償の脅しや、それに伴う交渉が絡むケースでは、ここが分かれ目になります。
弁護士法人みやびの退職代行は、退職の意思を会社に伝えるだけでなく、損害賠償請求への反論、未払い残業代や有給消化の交渉まで、弁護士法に基づいて合法的に代行できます。
「訴える」と言われて自分一人で会社とやり合うのが怖いなら、最初から弁護士に間に入ってもらうのが、もっとも安全で消耗の少ない選択です。
LINEでの無料相談から始められるので、請求書が届いて手が震えているような状況でも、まず話を聞いてもらえます。
弁護士法人みやびの退職代行|損害賠償の脅しに弁護士が反論・LINEで無料相談
脅されている最中ほど、会社の言葉に反論したくなりますが、議論で勝とうとしないでください。「持ち帰ります」「弁護士に確認します」の2フレーズで会話を切り上げ、戦う土俵を口頭から書面に移すだけで、脅しの効力は半分以下になります。冷静さこそ最大の武器です。
脅しがなくても退職に踏み出せないときはどうする?

脅しではなく罪悪感や顔を合わせる恐怖で動けないなら、退職代行で会社と直接やり取りせずに辞める手段が現実的だ。交渉が不要なら一般型で十分に足りる。
損害賠償が無効だと頭で分かっても、上司の顔を見るのが怖い、引き留めの言葉に毎回心が折れる、という人は少なくありません。
これは法律の問題ではなく、心理的な負荷の問題です。退職の自由が保障されていても、その権利を行使する瞬間に立ちはだかる「気まずさ」を会社が利用してくる。だからこそ、自分で会社と顔を合わせずに退職を完了させる手段が用意されています。
損害賠償の脅しのような交渉ごとがなく、ただ「もう関わりたくない、明日から行く気力がない」というだけなら、判断力が残っている今のうちに動いておくのが安全です。
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退職の損害賠償・脅しに関するよくある質問
例外は、故意や重過失で具体的な損害を与えた場合などに限られます。その場で支払いを約束せず、書面でのやり取りに切り替えるのが安全です。
ただし無断欠勤の常態化や悪質な引き継ぎ放棄など、退職に付随する別の行為で会社に実損が出た場合に賠償が命じられた例はあるため、「辞めたこと」と「辞め方に伴う別の行為」は分けて考えてください。
いずれにせよ会社にとっても弁護士費用と時間をかけて勝ち目の薄い訴訟を起こす実益は乏しく、実際に提訴まで進むケースは極めて稀です。怯んで退職を撤回することが会社の狙いなので、淡々と手続きを進めましょう。
研修費の返還については一定の条件下で有効と判断された例もありますが、業務に必要な研修費の返還請求は退けられることが多いのが実情です。請求された場合も、その場で支払わず確認の時間を取ってください。
とはいえ、最低限の引き継ぎ資料を残し、退職届を出して決められた最終出社日まで勤めるという普通の辞め方をしておけば、賠償を議論される余地はほぼなくなります。
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逆に交渉が不要で、ただ会社と関わらず辞めたいだけなら、弁護士監修の退職代行Jobsのような一般型で十分です。自分のケースに交渉が必要かどうかで選び分けましょう。
面接の現場で見られるのは前職でのトラブルそのものではなく、次の職場で同じことを繰り返さないかという再現性です。
前向きな転職理由を整理して臨めば、損害賠償で脅された過去はまったく問題になりません。
退職を損害賠償で脅されても、辞める自由は守られている
退職を損害賠償で脅されても、その大半は法的な根拠を持たない引き留めの口実です。民法627条が退職の自由を保障し、労働基準法16条が違約金や賠償予定の取り決めを禁じている以上、「辞めたら訴える」という言葉の多くは、あなたを足止めするための紙の刃物にすぎません。
賠償が現実に問題になるのは、故意や重過失で具体的な損害を与えた場合など、退職とは別の悪質な行為があるごく一部のケースに限られます。
やるべきことはシンプルです。やり取りを記録に残し、退職届を内容証明で確実に届け、その場で口頭の約束はしない。この3点を守れば、脅しの圧力は急速にしぼみます。
それでも会社が弁護士名で請求してきたり、執拗に脅しを続けたりするなら、交渉ができる弁護士法人みやびの退職代行に間に入ってもらうのが安全です。
交渉までは要らず、ただ関わらずに辞めたいだけなら、退職代行Jobsのような一般型で会社と一度も顔を合わせずに退職を完了できます。最終的な法的判断に迷うときは、弁護士に確認するのが確実です。
脅しに屈して今夜引き返した人の多くは、1年後も同じ職場で同じ脅しを受けています。辞める自由を行使して次に進んだ人のほうが、結局は早く笑っている。
その差は今の決断一つです。脅しの有効期限は、あなたが怯えている時間だけ。弁護士に間に入ってもらうか、退職代行で会社と縁を切るか、どちらも今日から動けます。
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弁護士法人みやびの退職代行|損害賠償の脅しに弁護士が代わりに交渉する
biz-reference.jp 編集部(採用コンサル14年)
採用コンサルティング業務歴14年。80社の求人原稿制作、累計3000人の面接、年間500人の応募者対応、年間300人の面接実施(継続中)。辞めさせたくない会社が引き留めで何を言うかを採用側の現場で見てきた経験から、応募者にしか役立たない本音を一次情報として発信しています。
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